パクチーハウス店主のKyo paxiが中国で見つけた料理をアレンジしたヤンパク。パクチーハウス東京の大人気料理の一つです。毎日食べても美味しい!
ヤンパク
材料
・ラム肉 120g
・パクチー 89g
・ニンニク 1片
・パク塩 小さじ1
・パクチーの種 小さじ1
・胡椒 小さじ1
・ミニトマト
作り方
1
フライパンにオリーブオイルを入れ、温かくなったらニンニク(みじん切り)、ミルで挽いたパクチーの種と黒胡椒(それぞれ半量)を炒める。
2
香りが出たらラム肉を入れ、強火でいっきに炒める。火が通る少し前にパク塩で味をつける。
3
お皿にパクチーを敷き詰め、熱々のラム肉を盛り付ける。パクチーの種と黒胡椒をミルで挽いてふりかける。ミニトマトを添えて完成。
出会いは2002年6月。日韓共催ワールドカップの真っ只中の北京だった。僕は王府井(ワンフーチン)から細い路地に入り、適当に何分か歩いた辺りで、サッカー観戦できる食堂を探していた。そこでたまたま足を踏み入れたのが、中国東北地方の家庭料理をウリにしている店だった。
4人掛けのテーブルが4卓ほどの小さな店舗だった。2つのテーブルにはもう5~6人ずつ先客がいて、すでに始まったサッカーの試合を見ながら大騒ぎしていた。一緒にいた旅人たちと空席に腰掛け、とりあえず周りの中国人たちと乾杯した。
サッカーが始まっているので、客も店員も、心はすべてテレビの画面上にあった。メニューなど持ってきてくれるわけはなく、仕方がないので隣のテーブルに出ていた皿を指さし、“これを下さい”とジェスチャーをした。そして、ほどなくして出てきた料理が、後に「ヤンパク」と名付けるパクチーハウスの人気メニューである。
そのとき、僕は、奈良の正倉院からイランのイスファハンまで陸路で向かう“もう一つのワールドカップ(WC)”の途中だった。イスファハンでは友人の結婚式の幹事を任されており、その式を盛り上げるために企画した。
シルクロードの旅にはかねてから行きたかったし、チケットも取れなかったので、テレビで観戦するなら日本にいる必要はないということで、WCを“自分でやる”ことにしたのだ。同WCの公式サッカーボールを手に、各地で出会った人とサッカーをして、終了後にはボールにサインをもらった。
話を「ヤンパク」に戻そう。その料理は、パクチーを皿の上に絨毯上に敷き詰め、その上に香辛料で炒めたラム肉をのせるというシンプルなものだった。初めて食べたとき、その旨さに衝撃を受けた。実はそのとき、パクチーも羊も、特に好きというわけではなかったのだが、これを食べて好物の中の上位ランキングに「パクチー」と「羊」が加わった。
北京には約1週間滞在したが、その店には6日間で8回も通った。もちろん、毎回同じものを注文。翌年には“旅と平和”の論文執筆のため渡英し、ラム肉とパクチーが豊富に売られているその国でも、週に2度はヤンパクを食べた。
メニュー名は中国語で羊を“ヤン”と読むため、パクチーの“パク”と組み合わせてみた。
”ヤンパクでもいい、逞しく育ってほしい”
僕がパクチーハウスに込めた思いだ。
(『カフェまぐ』2010年12月4日号のコラムより)