農場見学レポート by 佐保秀郁

【2015年冬パクチー研修レポート】

今回の農業法人マイベジタブルさんの農場見学は今までの農場・市場見学で一番おもしろいものだった。

今回の農場見学は話しを聞けば聞くほどワクワクした。マイベジタブルさんが行っている農業は高床式砂農業というもので、かなり簡単に言うとテーブルの上に敷いた砂の上で野菜を育てるというもの。

従来の農業のイメージと大きく違うが、この農法は水耕栽培や路地栽培にないメリットや可能性を持っている。

高床式砂農業のメリットを大きく3つに分けると、「コスト」「多様な人ができる」「発展性」の3つになる。

まず「コスト」だが、水耕・路地栽培に比べてランニングコストが低い。

水や養分を最低限しか与えないストレス農法を採用していることもあり水の使用も従来の農業より格段に低い。農薬も砂栽培の場合害虫などが付きにくいため少量で済むようだ。しかもハウスと高床の初期投資をすませれば後はそれほど多くの機械を用いないため初期投資も水耕栽培より低いそうだ。

つぎに「多様な人ができる」というのはどういうことかというと、土を育てる必要や気候を読む力などの能力や経験がなくてもできるということ。農業の高齢化や、後継ぎがいないなどの問題があるなかで経験のない人が始めやすいのは大きなメリットだし、農業が家業ではなく事業になっていくなかで、車のメーカーに就職するように野菜のメーカーに就職、起業という感覚が今後できてくるかもしれない。

砂栽培は高床ということもあり、腰をかがめずに作業ができる点も人を選ばないポイントになっている。車椅子の人でもできるだろうし、腰を痛めてしまった人や高齢者でも働きやすいのは雇用の安定という点で労使ともにメリットがあるように思う。

最後に「発展性」だが、砂栽培は究極、砂漠で農業ができる可能性があることと、発展途上国でもできるかもしれないということだ。

砂漠で農業となると気温や塩害など超えるハードルは多いだろうが、砂でも野菜はできるということは実証済みなのでいつかできる日がくるかもしれない。

また発展途上国では、米などの炭水化物は足りていてお腹いっぱいにはなるが、ビタミンはタンパク質が取れていないという問題がある。技術があまりいらない砂栽培のノウハウを提供して現地の人が作り出せば、世界の食事情が大きく変わるかもしれない。

日本の農業、世界の農業の明るい話題になりうるものを直に見れてとても有意義な研修だった。

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味覚で旅したパクチー研修2015冬 by Takuma Drb

【2015年冬パクチー研修レポート】

2007年、私はタイのシーチェンマイにいた。
大学を1年休んで、旅をしていた時のこと。

ゲストハウスの軒先で、シンハを飲んでいた。自転車で食べ物を売るおばちゃんから、薦められるがままにパパイヤサラダ(ソムタム)を買った。
ナンプラーと干しエビの香りの後に、劇的な辛さが私を襲う。舌はビリビリ痺れ、息するだけで辛さは増幅されていった。
だけど、食べることを止められなかった。舌のビリビリが脳に伝わり、思考は停止状態。なのに箸は動き続けた。とにかく目の前の(見た目は優しい)激辛を食べ続けた。笑ってしまうほどに辛いのに、本能が食べていた。

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その経験から8年。私はパクチー研修で訪れた千葉の五井で、思考停止状態で、目の前のそれを食べてた。
辛い。でも、うまい。辛さが脳に伝わり、思考は停止していた。ただただ、食べていた。2015年、私は千葉の五井にいた。シンハを飲みながら。

8年たってもタイで初めてソムタムを食べた時の記憶が蘇って、楽しい気分になれた。美味しいものを提供するだけではなく、香りを嗅いだ時や口にした時、思い出してもらえる(思いを馳せれる)印象に残る料理を提供できたらと思った。

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Takuma Drb