月別: 2021年3月
厚揚げのターメリック卵とじ
パプリカとタケノコの黄炒め
きいろいレモンチキン
パクチー栽培に関するFAQ(というかPAQ)
パクチー銀行主催で、パクチーの育て方講座をしました。以下、かれこれ15年ぐらい頭取として答えていることなのですが、改めて記録として残しておきます。
パクチー(Paxi)に関してよく聞かれる(frequently Asked Questions)ということで、PAQとでも言いましょうか。
●パクチーは暑くないと育ちませんよね。東南アジアの草ですよね。
全く違います! パクチーの発芽適温は20℃で、30℃を越えると発芽しないと言われています。日本の気候だと、春(2月下旬〜4月末ぐらい)か秋(9月中旬〜11月初旬ぐらい)に種を蒔くと、苦労せずにたっぷり収穫できます。それ以外の時期でもなんとかなりますが、真夏と真冬はちょっと難しいかもです。
冬はそれなりに生きながらえるのですが、夏の暑さには滅法弱く、パクチーハウスでも最初の5〜6年目まで、8月下旬から9月末までの調達には苦労していました。7月ごろからまず発芽率が落ちる上、暑さで葉っぱが溶けたり思うような生育が望めません。パクチー農家さんですら苦労しているのです。
夏だパクチーだというメディアのキャンペーンは、したがって、大嘘です。まぁ、タイやベトナムの料理にパクチーが使われていることが結構あるのでそこからのイメージはあるでしょう。デトックス効果等、衛生状態が悪い状況で食べるとよい効果はあるみたいです。
ちなみに、パクチーは東南アジアの野菜ではなく、地中海発祥とされています。使用量としてもタイやベトナムよりも、メキシコやペルー、モロッコやポルトガルの方が圧倒的に多い。生産量ナンバーワンはロシアですしね。
パクチーハウスを開いてからの10年で1000回以上の取材を受けた僕は、上記のことをほぼ毎回話しました。記者さんたち「そうなんですか!」と驚いておられましたが、かなり多くの場合に記事には「東南アジアの〜」「夏といえば〜」と書かれてガッカリしました。
事実よりも空気を重視する結果なんでしょうね。
●プランターのサイズが42cmとその倍のものがあったけど、どれが適切でしょうか?
大きさは大きいほどいいと思います。より重要なのは、根が下に伸びるために、深さのある鉢を選ぶことです。理想的には15cm間隔で植えるといいそうですが、プランターだといくつも植えられないので、とりあえず5cmおきぐらいに蒔いて、狭そうだなと思ったら(パクチーの気持ちになるんです!)間引きしてください。
間引きの注意点としては、パクチーを丁寧に根っこから取り出すこと。パクチーは生えた瞬間からパクチーの味です(新芽はちょっと繊細な味わいです)。間引きしたパクチーから根の土を取り除いて、サラダにするなり煮物に載せるなりして楽しんでください!
●種はどの程度の深さに埋めればいいですか。
土がかぶる程度、です。深く埋めると発芽しないそうです。
●種を植えるときの注意点を教えてください。
パクチーの種は球状ですが、半球2つからできています。つまり、1つに見える種は2粒なんです。ものの本によると、割ってから蒔いた方が発芽率が上がるとか、一晩水(ぬるま湯)につけた方がいいとか書かれています。
うーん。面倒だ。パクチー銀行頭取は怠惰なので、一度もそれをしたことがありません。いつも問題なく発芽しています。
●土全体は何センチほど深さがあればいいですか?
根っこが自由に伸びるため、深ければ深いほどいいと思います。15-20cmはほしいです。が、なければ浅いプランターにできるだけ土を詰め込めばいいと思います。状況に応じて、適度に育ちます。
●どのくらいのスピードで育ちますか?
きちんと蒔けば、発芽まで10日から20日程度。発芽から2カ月で適度な大きさに育ちます。しかし、パクチー銀行頭取は緻密さに欠けるため、種を並べて植えたり、同じぐらいの深さに埋めることができません。
その結果、いつも、蒔いた種の発芽時期が全然変わってくるんです。最近でいうと、9月中旬に適当に種を蒔いたら、10月初旬から芽が出てきて、11月には豊作と言えるぐらい生えてきました。その後、それなりの量(週に500gから1kg)収穫していますが、3月になっても不足することはありません。
1年草なので、9月に播種した分はそろそろ終わりで、ずいぶんトウ立ちしてきましたが、まもなく一部のパクチーに花が咲き、その後実がなって、またその次の世代がくるでしょう。
(千葉県安房郡鋸南町で 1mx3m ぐらいの花壇にてパクチーを栽培しています)
●水やりはどれくらいすればいいですか? サボテンも枯らす人なので教えてください…人生の中で、小学校のときの課題だった「芝生」しか成功しませんでした。
乾かない程度でOKです。パクチーを見て、乾いてるなぁと思えばやればいいと思います(パクチーの気持ちになるんです!)。プランターだと水分量が変わりやすいのでよく見た方がいいと思います。
●日差しが強くてもいいですか? ベランダで育てようとしていますが、南向きなので結構日差しが強いです。季節によっては風もとても強いです。
太陽の光は必要です。が、ベランダなどで当たりすぎたり、熱くなりすぎる環境だと厳しいかもしれません。必要に応じて風除けや日よけを設置してみてください。
●トマト用土って良さげなものがあったけどハーブ用よりもっとよかったりしますか? なんとなくトマトを実らせるくらいの栄養が入っているならパクチーにも良さそうと思いまして。
どうでしょう。栄養が多ければ植物が育つわけでもないので。トマトも、土の養分を減らすことで強く育てる方法(永田農法でしたっけ?)がありますよね。
●夏は水の量を減らした方がいいでしょうか。日陰は作らなくてもいいですか。
暑さには弱いので、夏はよく気にかけてやってください。パクチーの気持ちになるんです!
●近所で売ってるプランターが、プラスチック製のものしかなかったんですが、その場合、水をちょっと少なめにするなどの工夫が必要でしょうか。
水はけをよくして、表面の状態をよく観察してください。そして、パクチーの気持ちになるんです!
●花が咲く前に食べますか?それとも花は摘んでしまって、もっと育ててから食べますか?
花が咲く前に、細い葉っぱがでてきます。こうなると茎が硬くなって食べにくいです。それ以降は種取り用にするのが定石です。
花は花で美味しいです。サラダに混ぜたり、スープに浮かべて香りを楽しんでください。また、ワインなどに浮かべるのも一興。
●作りすぎて腐らせないでずっと美味しく食べるには、複数のプランターに、時期をずらして種まきをした方がいいのかなと思いましたが、
1年草だからずらしても意味ない…?
プランターなら2週間おきに蒔いてみるといいんじゃないでしょうか。ついでに言うと、プラスティックのプランターより、圧倒的に焼き物のプランターの方が育ちがいいです。(沖縄の名幸花鉢工場からのアドバイスです)
●根っこを食べなして上だけカットしたらネギみたいにまた伸びますか。
ハーブは摘んでも摘んでもまた伸びるって聞きまして…
植物なんで伸びるんですが、やめたほうがいいです。パクチーは1年草で、一部を摘むと「死」を意識し始めます。すると、子孫を残すために葉っぱが細くなり(人参みたいになる)花が咲いて種をつけます。
一部を食べるのでなく、根っこごと抜いて、全体を美味しく食べましょう。これもメディアに何度伝えてもなかなか書いてもらえないんですが、パクチーは根っこが一番美味しいんです。
●種を取る用の1~2本は、花が咲いたら何も触らず切らずそのまま置いておけばいいですか?
はい、放置しておけば花が咲いて、種ができて枯れていきます。
●種は、どんな見た目になったら取ればいいですか?
種が乾いたら収穫しましょう。根元で切って軽く振れば種が落ちてきます。
●取れた種ですが、そのまま料理とかお酒にコリアンダーシードとして使ってもいいですね?
多少土が付いているとかはありますが、気にならなければそれでOKです。ちなみに、スパイスの種として売っているコリアンダーシード(パクチーの種)は、殺菌のため加熱等していますので土に埋めても発芽しません。
もう1つ、栽培した人が味わえるすごい楽しみ方があります。生の種(緑の状態)のときに手でつまんで収穫するんです。パクチーのさわやかな味わいと柑橘系の素晴らしい香りが楽しめます。
生の種はサラダに混ぜてもいいし、酢やオイルにつけて保存しておけば長いことキープできます。
パクチー柄のアロハシャツ(限定品)
異邦人のタブレ Taboulé de “L’Etranger” #パクチーハウスのパクチー料理
材料
<ベース>
・キヌア 1カップ
・キュウリ 1本
・トマト 1個
・アーリーレッド(みじん切り)1/4個
・パクチー(葉・みじん切り)89g
・パクチー(種) 小さじ1
・モロカンクスクスドレッシング(レシピ)
<ソース>
エクトラバージンオリーブオイル 大さじ6
松の実(ロースト) 大さじ6
パク蜜 大さじ3
パク塩 大さじ3
ニンニク(みじんぎり) 大さじ1
五香粉 大さじ1
<トッピング>
・さつまいも 89g
・りんご 89g
<仕上げ>
黒胡椒 少々
クルミ 少々
パルメザンチーズ 小さじ1
作り方
1
キヌア1カップを10分間茹で、茹で汁をすてる。<ベース>の材料を入れてよく混ぜる
2
さつまいもを串切りにして素揚げする。りんごも串切りに。
3
2によく混ぜた<ソース>を大さじ2杯弱入れてよく混ぜる
4
3に<ベース>を大さじ3杯分入れてさらに混ぜる
5
お皿に盛り付け、黒胡椒・クルミ・パルメザンチーズをかけて完成
フランスの国民食をキヌアでパクりました
フランスで日常的に食されているクスクスを使ったサラダ「タブレ」を大胆にアレンジしました。クスクスの代わりに“スーパーフード”として話題のキヌアを使用しています。
タブレは元々、イスラエルやレバノンで食べられていたものを北アフリカ(マグレブ地方)のクスクスを使ってフランス風にアレンジしたサラダで、フランスを歩いているとよく見かけます。いろいろな文化が融合してできたタブレを、さらにパクった逸品です。
タブレのクスクスをキヌアに変えて出したらどうだろう、とKyo paxiが思い付き試作をしたのですが、あまりパッとしませんでした。それをコウモリラン普及委員会の“same same”タナカヒサシ氏がリンゴとサツマイモを加えて素晴らしい作品に仕上げてくれました。
メニュー改編で終売した「パクっとポテっと」もそうだったのですが、彼の独創性はとても面白いものがあり、普通の人では思いつかないようなものが突然ポンと出てきます。その辺りに敬意を表しつつ、フランス人ノーベル文学賞受賞者カミュの作品タイトルを借りて名付けました。