旅する人を増やす〜オスマントルコ特集

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パクチーハウス東京は3月25日〜6月初旬頃まで、オスマントルコを特集します。すでに存在しない国の昔の版図にあった国々の料理をヒントに、パクチー料理を作ってみました。

オスマントルコ特集の特別メニュー

  • 帝国の逆襲 パクメゼ3品セット
  • ハーリラ ハリラ ハーリラ パク! パク!
  • パクでイスタンブール
  • グルジアのカスピ海サラダ

 

1996年夏、初めてのユーラシア大陸横断の旅で、僕はイスタンブールに到達した。完全に未知の国だったイランに1ヶ月以上滞在した後、アジアを終えてヨーロッパの入り口に立った。アジアとヨーロッパの境目というボスポラス海峡は特にお気に入りで、船に乗り橋を渡って何度も往復した。

トプカプ宮殿を遠目に眺めながら、アジアとヨーロッパをちまちま往復する僕と、北アフリカ・東欧・中東に領土を拡大したオスマントルコを比較し、帝国の壮大さに思いを馳せた。僕は世界史を受験に必要だからいやいや暗記していたが、旅先のそこかしこで思いがけず知っている歴史の偉人に巡り合って次第に興味を持つようになっていた。

好奇心があるから旅をしているのだと思ったが、旅をするから好奇心が強くなるのだった。もっとたくさんのことを見たいし、知りたくなる。同じものを見ても人によって意見が異なるのが面白いし、数年後に自分自身の感覚も変わってくる。僕自身は一生旅を続けたい思ったのが、21歳のときのその旅だった。同時に、一人でも多くの人とその感覚を共有したいと強く思った。

僕自身の旅の経験を事業化しようと決めるのにそれから10年を要した。その間僕は個人的に旅をするだけでなく、旅する人が集まる会合を何度も主宰した。旅人を集めると、どこかへ行かなくても旅の気分が味わえることを知った。さまざまな人の旅の体験談を楽しみ、学び続けた。移動する旅をなんらかの理由で止めてしまった人が旅の感覚を持ち続けることが可能だと、旅人との飲み会から理解するようになった。

学生時代はすべての人に海外旅行に出かけて欲しいと願っていた。「移動する旅」の魅力を一人でも多くの人に体験してもらいたいと願っていた。今でもその気持ちはあるけれど、さまざまな理由をもって行動に移せない人にも旅的な体験をしてもらうにはどうすればいいかと考え続け、「移動しない旅」を提供してはどうかと結論づけた。それが株式会社旅と平和と創業し、最初の事業としてパクチーハウス東京というレストランを開いた理由だ。

昨年9月からパクチーハウスはメニューに「特集」を取り入れ、フランス・中南米・イランからイメージするパクチー料理を提供してきた。4つめの特集として、スタッフから「トルコ」の案が出てきた時、僕自身の体験から「オスマントルコ」への転換があった。現存しない国家を特集するなんて、始めた当初は思いもしなかった。しかし、国家がそれほど意味をなさなくなった今、オスマントルコに注目することで、僕たちとお客さんの発想や枠組みが破壊されれば面白いと思っている。

*オスマン帝国は多宗教・多民族国家であり、また、人々は滅亡の時まで決して自国を「トルコ帝国」とは称さなかったそうだ。僕らが世界史で習った「オスマントルコ」という呼称は歴史を表現する際の「外から」の通称だったようで、帝国の実態からも正式な国号という観点からも不適切とされ、現在は使われていないとのこと。


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