「超節電生活」と聞くととてもストイックな方を思い浮かべてしまいます。
こう言ってはなんですが、僕自身の日常生活について咎められたりするかもしれないし、果たして話が合うのかなどとも考えてしまいます。
アフロの稲垣えみ子さんは、しかし、会った瞬間からそんなことを忘れさせてくれる面白い人でした。
冷蔵庫も洗濯機も持たず、外出してもエレベータ・エスカレータには載らないようにしているそうです。「どんだけー」と思うでしょうが、そこに根拠がありポリシーがあり、そして人に押し付けるわけではないので、話を聞いていて納得させられるのです。そして、「やれ」とは言われないのですが、「ちょっとそっちの方向に行ってみようかな」と思わされました。
ちなみに、一階に住み電車にあまり乗らない僕は、普段あまり階段を昇り降りする機会がありません。だから移動で走るときに歩道橋があれば喜んで利用しますし、どんどん深くなっている地下鉄に乗ったときには、よく地上まで一気に駆け上がります。東京は人工のトレイルに溢れています。「電気を使わない」という視点ではありませんでしたが、結果的に同じことをしていたので共感できました。
1年前、サハラマラソン報告会で佐賀県武雄市を訪れたとき、Airbnbで「5A(アンペア)の生活」をしている人の家に泊まりました。このときも訪問前はとても恐れていましたが、夜中にその家の主と2時間語るほど、彼の考え方にも共感しました。自分の電気をいきなり失くすときに喪失すると思われるものを想像すると恐ろしいですが、長い時間と思索を経て、生活を少しずつ変化させた結果得た境地は、想像以上に居心地がいいものです。もちろん、「その話を聞く」とか「そこに一泊だけする」という腰掛け程度の体験だからというのもありますが、そういうことを実践する人から学ぶことは多いです。
冷蔵庫があるのが普通だけど、本当にそれを活用しているのだろうか。使わない食材をいつまでもストックして、大掃除のときにまとめて捨てたりしていないだろうか。肉や魚は食べる分だけ買えばいいのでは。その野菜は冷やす必要があるのか。調味料をなぜ冷蔵庫に入れるのか。
そして、現代、身の回りには冷蔵庫が溢れています。自動販売機がそこらじゅうにあるし、コンビニも24時間空いています。夜中に目が覚めたときに冷蔵庫に麦茶が冷えていたら便利だけど、なくても死ぬわけじゃないし、だいたい夜中に途中で起きないように健康的に生きた方がいいかもしれません。
稲垣さんと同じ生活を、即座にしなさいと命令されたら僕は断固拒絶すると思います。しかし、毎日冷静に一つひとつのことを考え、自分の納得する形で判断していくと、今とは違う生活をすることになるだろうなと、稲垣さんと話をしていて思いました。
自分の人生をちゃんと選んでいるか。食材を冷やす前に頭を冷やせ。
6月25日(土)10:00-14:00 パクチーハウス東京での【cinemo PAX vol.1】にぜひお越し下さい。
http://cinemo-pax-vol1.peatix.com/
⇒血中無職濃度
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