完全無欠のパクチー主義者Kyo paxiです。
今月発売の『dancyu』(2016年5月号)で、「パクチー偏愛主義」という特集が組まれ、パクチーハウス東京の「パクソースのパスタ」も掲載されている。ぜひ買ってお読みいただきたいのですが、パクチー特集以外にも楽しい記事が盛りだくさんでした。
特に僕が「いいね!」と思ったのは「東京だからこそ食べられる現地の味〜東京じゃない」という石田ゆうすけさんによる特集記事。7年半自転車で旅した中で忘れられない味として、ウガリ(ケニア)・ラグメン(中国・新疆)・ソペス(メキシコ)を出す東京の店を紹介している。
その中で「ラグメン」にスポットを当てたい。僕は自分自身が旅先でそう聞いてきたので「ラグマン」と呼び、パクチーハウス東京では「ラグマン鍋」というアレンジ料理を提供している。
「世界一の麺料理だ!」と思うぐらい旨かった。
これには同感。というか、ラグマンの説明をするときに必ず言っているフレーズが石田さんの文章にあって感激した。ラグマン鍋は世界で一番美味しい麺料理と、世界で一番楽しい日本の鍋という文化を融合してパクチーを加えたものですと、作りながらいつも解説している。
うどんに似た麺に〝ラム肉の野菜炒め〟を載せた料理で、ウイグル族は毎日のように食べている。実際、田舎に行くとラグメンしかないことも多く・・・
僕はラグマンが本当に気に入り、1日4食これを食べていた。なぜ4食かというと、うまいから毎食食べていたからであり、中国国内にある時差も関係している。中国は全土で「北京時間」を採用している。新疆ウイグル自治区は2時間ほどずれた場所にあるのだが時計は北京時間なので、感覚的に2時間ずれた生活をしている。しかし、素人旅行者の僕はついつい北京時間の朝に起き、ウイグルの人たちの早朝に朝食を求めていた。必然的に昼も夜も2時間早めに食事をとることになるが、夜は夜でいろんな人たちと飲むので早く寝るわけではない。そして〆のラグマンだ。朝昼晩しっかり食べ、飲んだ後にラーメンを食べたというとイメージしやすいだろうか。
「うどんに似た麺」は、うどんからアレンジして作ったパクチーハウス東京オリジナルのパクチー麺を使用。本場の麺を打つときには卵を混ぜるらしいのだが、元々パクチー麺には卵を使っていないので、麺を入れると同時に溶き卵を入れてラグマンを完成させることにしている。
ラグマンはラーメンとミートソースの起源と言われている。東に行ってラーメンになったということで、日清食品の安藤百福さんもラグマンを新疆へ食べに行ったとたしか日経新聞『私の履歴書』に書かれていた。そしてずっと西へ行ってミートソースができたという。『東京カレンダー』がこんな記事を書いてくれている。
僕が食べまくったラグマンは、いつも大盛りの料理だった。巨大な丼にうどんでいうところの3玉分ぐらいの麺が入っていたと記憶している。パクチーハウス東京のラグマン鍋がお腹が苦しくなるような量に設計しているのもそのためだ。せっかく来たからといろいろな料理を食べてラグマン鍋も食べたいというお客さんが結構いるけど、僕の本音としてはラグマン鍋に集中してほしい。一度になんでもかんでもやろうとしないで、一つのことだけをするのが人生を楽しんだり成果を上げるために大切だと、僕はサハラマラソンで学んだ。お客さんにもそうしてほしいと思っている。「余計なもの注文するなよ」とまでは言わないけどね。
ラグマン鍋は事前予約で、4人以上から人数分のご注文のみ承っています。それはここに書いたストーリーを遵守するため。パクチーハウス東京の料理は、僕の旅と繋がっている。
石田さんの記事「東京じゃない」で紹介されていた「こんなにすごい麺料理なのに、なんで東京にこの一店舗だけなんだろう」というシルクロード・タリムウイグルレストラン(初台)にぜひ行ってみましょう。僕も近々!